初めての野球観戦

 三連休の真ん中の土曜日、わたしは人生初のプロ野球観戦に出掛けた。記念すべきその試合は、「オリックス日ハム戦」。正直、ちょっと微妙な感じのカードである。旦那さんはぶつぶつ文句を言っていたけれど、わたしの弟の誘いなんだから仕方がない。前にも書いたように、わたしの弟は非常に熱心なオリックスファンなのだ。彼に誘われて「阪神巨人戦」なんていう心楽しいゲームを期待する方がおかしい。
 気持ちの良い秋晴れの午後一時、大阪ドームで試合は開始された。日に焼ける心配はしなくてもいいけれど、人工芝の鮮やかすぎる緑が目にいたい。試合はとても淡々と進む。プレーオフ進出に一縷の望みをつなげるか、オリックスにとってはとても重要な試合だったはずなのに、気迫のプレーは少しも見られない。ファールで粘ったりもしないし、ヘッドスライディングだってしない。無理に派手なプレーをしろとは言わないけれど、なんだかなぁって感じである。ビールでも飲まないとやってられない。外野席で気合いの入った応援をしている応援団が気の毒になるくらいだ。消化試合モードの日ハムに、実にあっさりと負けて試合終了。この日西武が勝ったので、オリックスプレーオフ進出の可能性は完全に消えた。
 試合はお世辞にも面白いといえるものではなかった。それでも球場という場所は、何かしら不思議な力を持っているらしい。特に小さな男の子に対しては。今年の春わたしの息子さんはひとり弟に連れられて、大阪ドームオリックス楽天に大敗した試合を観戦した。つまらなそうにしていたという息子さんは、それ以来急速に野球に目覚めた。それまで野球のルールすらろくに知らなかった彼は、NHKで野球アニメを見るようになり、マリオの野球ゲームまで買った。「チェンジアップ」だとか「フォーク」だとか、わたしにもよくわからないことを楽しそうに話している。
 彼の姿を見ていると、生で観るプロ野球ってのはなかなかすごいもんだと思う。例えばそれがイチローのいないオリックスであってもね。