夏休みの思い出 海水浴


 鳴き砂で有名な琴引浜(ことびきはま)に、1泊2日の海水浴に行ってきた。一緒に合コンに付き合ってくれた同級生とおばちゃんが、宮津にお墓参りに行くついでに寄るからと言って誘ってくれたのだ。他にもうひとりおばちゃんの会社で働く若い女の子。車に乗る人数の関係で、今回旦那さんはお留守番。
 宮津で同級生がお墓参りをしている間、わたしと息子は境内を眺めながらお弁当を食べていた。ざぁざぁと激しく雨が降っている。泳げるのかと息子は少し心配している。読経の声が雨音に負けず朗々と響く。猫が軒下で雨宿りをしていた。
 宿に着き、荷物を解く間もなく海岸へとおりる。時折小雨の降る日本海は波が高い。浮き輪で波乗りを楽しみ、合間に浜辺のかけ流し温泉につかって暖をとる。夕食のあと、夕暮れに紅く染まる空と海をみながらまた温泉につかった。水着のまま入るこの温泉は、なんと無料なのだ。最高の贅沢。
 次の日はカラッと晴れていた。岩場の浅い海で魚を追いかける。潜りながら沖に進むと、藻の群生が腹を撫でる。波が凪いだ海ぽんやり浮かんでみる。浜を歩くと砂が擦れてキュッと小さな鳴き声をあげる。
 その夜近くで花火大会があるというので、日暮れの道を急いだ。でも駐車場がいっぱいになってしまう、という心配はただの杞憂だった。花火大会のために解放された小学校の校庭に車を停める。打ち上げ開始1時間前には、不安になるほどの人しか集まっていない。ぼちぼちと人が来て、海上高く花火は打ち上げられた。前に人の頭も建物の影もない。花火はこうやって楽しむのが正しいに違いない。そう思った。