お詫びメールに逡巡する

 時折ふいに母想いになるわたしは、ひどい花粉症の母のために2台目の空気清浄機を購入することに決めた。既に生産終了となった古い我が家のNational機は、LEDライトが眩しすぎて寝室には向かないのだ。何故だかライトの消灯機能は付いていない。
 予算は最大2万円。出来れば1万円くらいでないものかと、仕事帰りに近所のヤマダ電機をうろついてみる。ネットでちらりと下調べした感じでは、ダイキン製品の人気が高かった。職場に新しくやってきた空気清浄機もダイキン製で、交換フィルター7年分内蔵というのは素晴らしく魅力的だ。これがだいたい安くて2万円。だけどヤマダ電機にはダイキンの空気清浄機はひとつも見当たらなかった。どうしてなんだろう? たまたま売り切れていただけなのかもしれない。
 1万円前後の商品を4・5個ピックアップして、お買い物用の製造番号カードを取り、値段を書き込んで家に持ち帰る。ネットでクチコミをチェックしてから購入を決めるのだ。なんて賢い消費者! 結果5年フィルター交換不要、評判も上々だった東芝のCAFG3Sに決定。しかもヤマダ電機で10,800円だった品がJoshin Webでは8,700円。1万円以上送料無料に併せ、懸案だったトースターもこれで新品に。むふふ、と幸せを噛みしめる。これが今週月曜日のこと。
 だけどそれも束の間、火曜日にJoshin電気から入荷が遅れる旨のお詫びメールが届いていた。入荷予定日驚愕の5月下旬。花粉の季節が過ぎ去ってから届いて、一体どれほどの意味があるというのだろう。その日はそうでなくても最悪の気分で過ごした一日だったっていうのに。リモーネマカロンの入手にも失敗し、空気清浄機の入荷日は遙か遠い。わたしはそんなに悪いことをしたのだろうか、としばし自問する。答えはよく分からない。何かの罰なのかもしれない。
 キャンセルという5文字が何度も脳裏をよぎる。5月末とは言っても入荷予定は概して早まる傾向にあるのだし、これは大人しく待っている方が賢いのかもしれない。手に入れたリモーネマカロンで心を慰めつつ不安と戦うこと3日。Web情報が更新され出荷予定日が今週木曜日(昨日)に、そして無事今日到着した。――あの苦悩の日々は一体何だったって言うんだ。
 誠意溢れる一通のお詫びメールに心を掻き乱され、その分喜びは倍増した、のかもしれない。だからこれはかえってよかったのかな、とまたしばし考える。純粋な思考の無駄遣いですね。