草臥れた

 朝から頭がずーんと重くて身体がひどく怠い。夜にワインのハーフボトルを空けたみたいだ。でもアルコールなんて一滴も口にしてない。「なのにこんなのってないよな」と思う。
 仕方なくのそのそと着替えて九時から町内会の掃除に参加した。鈍い刃先の鎌を持って少し勢いを得てきた雑草を刈る。毎月の熱心な清掃活動のおかげで(不参加だと二千円徴収されるから)緑のある部分はごく限られているし、伸び伸びと気ままに成長することは許されていないしで作業はそれほど難しくはない。あまり真面目に作業に没頭すると来月の掃除に支障が出そうだし、茶色い地面が剥き出しになるのは視覚的にも地球温暖化の観点から言っても問題があるので適当に鎌を振り回す。三十分の間にわたしは前日の雨と日差しで蒸れた草いきれの匂いを胸に深く吹い込み、団子虫と小さな飛蝗を幾匹か驚かせて掃除は終わった。
 その後十年ぶりくらいに階段掃除の当番を母と代わった。慣れるまでうまく箒を使うことが出来ない。初めのうち片手で箒を操ろうとして右腕が痛くなった。ちょっと自分の体力のなさに愕然とする……。
 それから風呂場で長く放ったらかしにしていたテトラの水槽なんかを洗う。風呂場はペットの陸亀がトイレ代わりにウンチをしている。もちろんこれも洗った。陸亀のウンチは草が腐った匂いがします。どうでもいいことだけど。
 その後息子の水泳教室についていき、彼が新しいクラスで*1日本泳法を習うのを見た。椅子が足りないので立ったまま一時間。さすがに退屈なので『回転木馬のデッドヒート』(とても素敵なタイトルだ)を読んでいたけど。
 夜になっても疑似二日酔いは治まらなかった。とにかく草臥れた。そんな一日。 

*1:足は平泳ぎ、手はクロールのような泳ぎ方をする。どうやら遠泳に向いているみたいだ。