バンコクの○○

 昨夜の余熱を身体に感じつつ『○○』に相応しい言葉を考えてみる。どうやら『○○』は漢字二文字である必要があるみたいだ。わたしはあるリポーターの提案していた『独勝』(ドイツW杯と無観客試合とがかけてある)なんていいんじゃないかと思う。後でどの試合のことか思い出し易いし。この種の呼称をこの先もつけ続けるつもりなら「分かり易さ」というのもある程度重要になってくるんじゃないかと思う。あるいはこれはわたしの記憶力のなさによる個人的問題なのかもしれないけれど、この一連の代表戦が終わるとまた『マイアミの奇跡』とか『ジョホールバルの歓喜』なんかが何を意味しているか思い出すのに段々と時間が掛かるようになるのだ。と思いつつも、インターネット上で人気らしい「必然」というのも日本サッカーの目覚ましい発展を感じさせてくれるので捨てがたい。迷うなぁ。別にわたしに決定権があるわけじゃないですけど。
 試合の前半は北朝鮮側が退き気味だったせいもあるのだろうけど、ちょっと選手の足も重くてあまりおもしろくない展開だった。個人的に期待の鈴木隆行選手も活躍らしい活躍を見せられないまま後半開始から大黒将志選手に交代。それからすぐに試合が激しく動き出したのは、彼のファンであるわたしを少しだけ複雑な気持ちにする。
 でも柳沢敦選手がゴールを決めてくれたのはすごく嬉しかった。長くゴールから遠ざかっていた彼がゴールを決めたと分かった時には、これまでの苦労がやっと報われたのだと思った。それは彼の重ねた努力によってもたらされたものだけれど、彼と何の関係も持たないわたしですら「ようやく報われたのだ」と感じた。図々し過ぎるのかもしれない。でもそれがスポーツの持っている代替しがたい力なのだと思う。本当に心からおめでとうございます。
 バンコクはとても蒸し暑く(気温30℃程度、湿度は60%を超えていた)ピッチもよく見るとデコボコしていた。後半にはだいぶラフプレイが増えて、選手は強く身体を当てられ、脚を刈られていた。バーレーン戦の疲れの残った身体を支えてくれるサポーターの声援は競技場の外から風に乗って(いつもに比べれば)僅かに耳に届くばかりだ。でも選手の集中力が最後までとぎれたようには見えなかった。大黒将志選手の終了直前のゴールがそれを象徴している。(何度か微妙なとこでオフサイドとられてたから、一瞬ドキッとしたけど。キーパーと一対一になってきちんと決めてくれたのもよかった。ああいう場面で外すシーンをなんだかよく見る気がするし……)。
 それにしても競技場の中に入れないことが分かりながら仕事を休み、貯金をはたいてまでバンコクに行く底知れぬ情熱  。しかも試合を観るのさえ我慢しながら競技場の門にしがみつくようにして声を張り上げ続けていたサポーターの人々には頭が下がります。わたしには到底真似できそうにないや。スポーツバーにすらまだ行ったことがないのだ。自慢じゃ全くないですけど。 



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