初めてのスケボー見学

 『海辺のカフカ』はまだ途中。今日は2㍑のミネラルウォーターを6ケース分、36本をまとめ買いした。これから暑くなるし、一日2㍑の水を飲むだけダイエットを始めるかもしれないしね。エレベーターのない団地で、母と二人これを三階まで運ぶのはちょっとした労働だった。明日はきっと筋肉痛だな。でも旦那さんに「ジャパンで一箱(6本入り)をたしか460円で売ってたぞ」と言われる。彼はよくそんなことを言ってわたしたちをがっかりさせてくれる。まぁ最近の関西は梅雨だというのに連日馬鹿みたいな晴天が続いているから、渇水対策で水が値上がりしていると言うことも充分に考え得る……。
 日が沈む少し前に、車で十五分ほど行ったところにある公園に行く。そこは去年スケボーが出来るようにきれいに整備されたばかりの公園である。息子はアメリカのアニメの影響されて、たしか去年の春頃にスケボーを始めたのだ。だけど暑すぎるだとか日が暮れるのが早いだとか……、何かと理由をつけては連れて行ってもらえないので、動くボードの上でバランスをとるのがやっとである。それに正直なところ親バカなわたしの目から見ても、彼はあまりスケボーに向いていない。
 彼は危険を畏れる性質なのだ。そういう人間はケガもしないけれど、劇的な上達をみせることもない。彼はパーク内の平らな部分を回遊魚のようにぐるぐると回っている。(そんなのは何処でだって出来る。――怒られるからほんとは無理だけど)。自分なりの練習を地味に繰り返す。時々親切なお兄さんが声を掛けてくれるけれど、すごく迷惑そうである。見てる方はすごく退屈する。せっかくなんだからちょっとした傾斜ぐらいチャレンジしてくれよ、と無責任に思う。
 ボードも持たないわたし相手にペラペラしゃべってくれたお兄さんは(なんだかすごくノリがいい人達なのだ。初めて会う人間にもフレンドリーに話しかける)「お母さんの方が赤ちゃんを産んだ分度胸があるから、子供と一緒に始めたらいいよ」なんて勧めてくれる。だけど「ここも骨折してるし、足もおかしいんだ」なんてケガ自慢をされちゃうと、そんな気はすっかりなくなってしまう。息子にも「回遊魚でいいからね」と言いたくなる。人にはそれぞれのやり方ってものがあるのだ。