少年は自分と戦う旅に出るものなのか?

 昨日の夜から、今日が返却期限のDVDを二本続けて観る。それからようやく『海辺のカフカ』を読了。手当たり次第に果物をぶち込んでミキサーにかけたみたいに頭の中が混乱している。全ての話が混じり合って記憶されちゃたりしたら厭だな……。

コールドマウンテン [DVD]

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 南北戦争は良くないな、と思う。正しい戦争だとか本当に意味のある戦争がどれくらいあるのかは知らないけれど。 わたしは人の顔を覚えるのがひどく苦手である。こういう戦争物ではみんなが同じ迷彩服を着て、匿名性という名の泥水を浴びたみたいに汚れているものだから、ますます人物を正しく識別することが困難になる。しかもサスペンス的要素もあって話は少し複雑である。最後には蜘蛛の巣を頭から被ったみたいに混乱した。それで旦那さんに馬鹿にされる。まぁ仕方ないけど……。
海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

 個人的には、今までの村上作品とはずいぶんと趣が違うように感じた。少年が主人公だったからかもしれない。宮部みゆき作品を読んでいる時のような、謎解き的わくわく感があった。でも、もちろんそこには明確な結論や分かり易い解答は用意されていない。
 わたしは小学生の時に『ゲド戦記 影との戦い』を読んだ時のことを思い出していた。頭の中にはドライアイスを派手に散らしたみたいにぼんやりとした靄がかかっている。でもひとつひとつの場面が強く脳に刻み込まれている。そして、それを何度も思い出すことになるのだ、おそらくは。
影との戦い―ゲド戦記 1

影との戦い―ゲド戦記 1