眠気

 母は週末からひどい風邪に苦しんでいる。胃腸にくるタイプの風邪なので、少しも食欲が湧かずに、無理矢理押し込んだお粥やゼリーもなかなか栄養にはならずに排出されてしまうようである。肥りすぎが気になる彼女としては体重減少だけが唯一の慰めである。でもひとつくらいは心の支えがあって本当に何よりだと思う。それが健康と共に一瞬で去る喜びであるとしても――、まぁないよりはマシである。
 わたしは一日だけ突発的な激しい下痢と嘔吐に苦しんだ後は、母ほどひどい目には遭わずにすんだ。彼女のように仕事に出かける必要がなかったからだと思う。でも昨日は生暖かい鉛を流し込まれたように頭が重く、ブログを更新するどころかパソコンの電源すら入れる気になれなかった。わたしは冬眠をし忘れた間抜けな熊みたいに眠たかった。自転車に乗ったら、そのまま川に突っ込んでしまいそうだった。わたしは朝の用事を済ませると昼過ぎまで眠り、夕方にまた眠った。起きている間も片足を夢の世界に残してきているようなふわふわした心持ちがした。そして夜になるとしっかりと眠った。朝目が覚める時は、真夜中に乱暴な電話で叩き起こされたみたいに不愉快だった。
 ――今もとても眠いです。この圧倒的な眠気もまた風邪のもたらしたものなのだろうか?