ポケモン映画を観る

 昨日は息子と一緒に『ミュウと波動の勇者ルカリオ』を観に行ってきました。レディースデイ(せっかく前売り券買ってたのにね)なのが多少影響しているのか、映画館はほぼ満席。ポケモンはやっぱり人気がある。
 さすが人気映画だけあって、ストーリーも絵もきちんと創られている。「子供だましじゃないぞ!」という制作者の自負を感じて、とても好感が持てる。ストーリーは全て予想通りに展開するけれど、子供にはそういう美しい予定調和が必要だと思うから文句なんて無い。もちろん息子がいなきゃ観ようとは思わない映画だけれど、付き合って退屈しないのがいいですね。上映中にやたらと子供たちがトイレに立ったり、みんなに聞こえるひそひそ話をしているのも可愛らしい。ざわざわした館内の雰囲気が、みんなで今同じものを楽しんでいるのだと実感させてくれる。
 でも、映画館に着くまではちょっとしたアンラッキーの連続だった。まず第一に銀行の暗証番号を忘れて、カードを使えなくしてしまった。前は家の電話番号が暗証番号になっていたから、安全のためと思って変更したのだ。でもそれ以来銀行に行く機会が減って、どう変更したのかすっかり忘れてしまっていたのだ。それで思い付くままに適当な番号を押し続けていたら、何の警告もないままあっさりカードは無効になってしまった。お金だって当然下ろせない。自分が悪いのは分かるけど、ほんとこういうのって頭にくる。わたしはカードの暗証番号を別々にしていたいと思う方なのだけど、盗難に遭う危険性よりは暗証番号を忘れる面倒の方がずっと怖ろしいし、警戒が必要な気がする。まさか暗証番号を書いて持ち歩くわけにも行かないしね。
 第二に、銀行で手間取ったせいで乗るはずだった電車が目の前で行ってしまった。映画に間に合わない。そして第三は、駅の出口で息子が改札のバーに挟まれてしまったこと。「ばっちぃーん!」となってびびったらしい。機械の故障なのだって。――不幸は続く。最後は映画館。本編上映まで「あと三分」と聞いて慌てて二階の受付まで上がったら「当日券に引き替えて頂かないと……」と言われてしまった。ここまで続くと、力が抜ける。
 全てはわたしの鈍くささが原因だと分かってはいるけれど……、ちょっとあんまりですよね?
 映画のあとは久しぶりに鴨川の測道をのんびり散歩した。向こう岸まで続く飛び石の上に座ってサンドイッチを囓る。時々飛び石を人が渡る。わたしから離れた石の上では、女の子に膝枕をしてもらって男の子がゆったりと流れる雲を見ている。自転車に乗ってきたフランス人らしき男女数人が川の中央を陣取り、上半身裸で(女の子はブラか水着を着けている)日光浴を始める。散歩途中のポメラニアンが水につけられ、じっとそれに耐えている。時折飼い主に救いを求めて吠える。最後に彼女(彼?)は飛び石を短い足で越えさせられる。臆病なポメラニアンにとって、散歩は時に困難を伴うのだ。石は青空から降り注ぐ陽光を吸って暖かく、川面はキラキラと輝き、水は意思を持った小魚の群れみたいに素早く流れる。大きな鷺が優雅に羽を広げて飛び立つ。――初夏の飛び石はすごく特別な場所だ。そこでは、時間はとても素敵な流れ方をする。ほんの少しの間だけだけれど。