世界が困難に満ち溢れていること

 このブログも、すっかり不定期更新になってきたなぁ。幾つか書こうと思っていたこともあったんだけど、一度ついた怠け癖はそう簡単には抜けないようで、ほんと参っちゃいます。というより、怠け者なのが本性だからね……。
 久しぶりの更新だけど、今日は最近読んだ本の感想とかでさらっと終わり。
 ほんとは旦那さんの実家で昔懐かしの『ドラゴンボール』『らんま1/2』『うる星やつら』に家族三人仲良く夢中になっていたのだけれど、そんな話ばかりじゃ柚木の僅かな知性まで疑われてしまいそうなので、少し真面目な本のことについて。――でも『マークスの山(上) (講談社文庫)』は正直なところ何十回も挫折しそうになった。だって本を広げた瞬間あまりに漢字が多い気がしてうんざりしたし、振り仮名なしで土地の名前なんかを読み進めなければならないのはわたしにとってかなりのストレスだった。(ところで「合田」刑事は「ゴウダ」なのか「アイダ」なのかどっちなんだ? それくらいは振り仮名ふっといてくれてもいいのにと思う。途中までは「ゴウダ」刑事だと思って平穏に読んでいたのに、旦那さんに「それじゃジャイアンだろ!」と実に余計な茶々を入れられてからすごく気になって、「合田」と出てくる度に交互に読み替えるはめになった)。そして残念なことに文体も内容も、わたしにはどうも最後までしっくりこなかった――


 最近はアマゾンで人気の本を検索して、それを図書館で借りて読むことにしている。(レビューを読んで気になったものを借りるから外れも少ないし、自然と新しい作家さんの本が読める。柚木は好きな作家さんの本を集めるタイプの人間なので、そうでもしないと山ほど本を読んで、結局それが全部いつもお馴染みの作家の作品だったりするのだ)。すぐには手に入らなくても、予約しておけば本が届いたことをお姉さんが電話でお知らせしてくれる。もちろんお金は取られないし、貸し出しの延長だってしてくれる。お金も掛からないし、本が子ネズミのように増殖して狭い我が家を食い尽くす畏れもない。ちょっと面倒気もするけど、暇さえあれば図書館は本当に便利なところだ。
 そんな風にして図書館で借りた話題になった本が、この二冊。わたしは続けて読んだけれど、気持ちが暗くなるので間はあけて読んだ方がいいかもしれない。

“It”(それ)と呼ばれた子 幼年期 (ヴィレッジブックス)

“It”(それ)と呼ばれた子 幼年期 (ヴィレッジブックス)

 実の母から受けたひどい児童虐待の記録。救い出された日の思い出から書き出されていなければ、読み進めるのはもっとずっとつらかっただろうと思う。
 虐待はある日突然始まることもあるのだ、そして兄弟の中で自分一人だけがその憎しみの対象に選ばれてしまうということも――。そして家庭の中で虐待されている子供を社会が発見し、保護することは意外なほど大変なのだな、と思い、考えさせられる。

生きながら火に焼かれて

生きながら火に焼かれて

 この本を読んで、何だか『It(それ)と呼ばれた子』がまだマシな話に思えてきた。『It(それ)と呼ばれた子』では、少なくとも誰も死ななかった。比較って怖ろしいね……。これが同時代の世界で起こっていることなんて、今でもうまく信じられない。作り話を聞かされたような気がする。
 主人公の少女は幼い時から父親にこき使われ、家に閉じ込められて学校にも通わせてもらえない。(わたしたちの感覚からすれば、それも立派な虐待である)。でも、これはある家庭の特別な出来事ではない。彼女の生まれた村ではごく普通のことなのだ。外を自由に歩くためには、結婚しなくてはならないのだ。でも彼女は上の姉が結婚しないために、求婚者がいる(話したこともない近所の男)のに結婚することが出来ない。少女は焦り、求婚者に接触し、妊娠してしまう。そしてその為に、家族により火あぶりにされてしまうのだ。家族の「名誉」を汚したとして。
 その世界では「名誉の殺人」は悪ではないのだ。