夏の終わりに読む本

 学生が学校に戻り、朝夕の涼しさに夏が去りつつあるのを感じるようになると、ふいに寂しい気持ちに襲われたりする。そんな物悲しい気持ちにしっくりくる本に出会った。
 『夏の庭』と『西の魔女が死んだ』というどちらも小学生が主人公の本。ストーリーを極端に単純化すれば、この二つの話はとてもよく似ている。「子供がひとりの老人と心を通い合わせ、その老人に自然な死が訪れる」というもの。こんな風に言うと何でもない話みたいだけど、底の方で眠っていた静かな感情をそっと揺り動かしてくれるような素敵な小説です。枕の側に置いて、何日もゆっくり味わいたくなるような。
 と言いつつ、わたしはどちらも一日で読んじゃったんですけど。

夏の庭―The Friends (新潮文庫)

夏の庭―The Friends (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)