むすこ日記その4
うちの息子さんはよく怪我をする。活発なのか鈍くさいのかは判断の分かれるところですが、柚木の子なので(親としては非情に残念ながら)おそらくは後者が正解。無念です。
そんなわけでこの前旦那さんの実家に帰っていた時も、息子さんは目の下と肩にでっかいカサブタをつくっていた。学校の廊下で転けたんだそうである。実に器用な傷の付け方だ、と感心する。
次の日ようやく傷に気がついたお義父さんが「どうしたんだ、それ」と訊くので、柚木が代わりに答える。
「ケンカしたんだよね。殴っては蹴り、の大喧嘩」
「違うし……」と息子は小さく呟く。「転けたんやし」
「こう殴り殴られで」と柚木は身振りを交えて説明する。「血が窓ガラスにピッピッと飛んだんだよねー」
「転けたんやし」と息子の声が大きくなる。つまんない男なんである。
「だめだなぁ、君は『ビッグ・フィッシュ』を観て何を学んだんだい? 人はつまらない真実よりも、面白い嘘を愛するものだって、この前勉強したところでしょ」と息子に説教をする。「武勇伝が男には必要だよ」
*1『ビッグ・フィッシュ』は、いい映画です。お薦め。
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*1:注 嘘吐きを推奨する映画ではありません