合コン体験 その2

 合コンの翌日、わたしは朝早くから海に行く予定をしていた。一緒に合コンに付き合ってくれる中高時代の同級生が誘ってくれたのだ。合コンの間、息子さんはその同級生のおばちゃんに預けることにする。どこまでもずうずうしい女なのである。
 海に行くと決まった時から、息子さんはずっとその日がくるのを心待ちにしていた。夏休みが始まる前から「海行くのいつやったっけぇ?」と何度も訊いてきた。「何持って行こうかな? おやつはなんにしよっか?」とか色々考えている。そんな様子を見ていると、元来ものぐさな柚木も俄然張り切ってしまう。むさ苦しい(かもしれない)合コン相手より、可愛い息子さんの方がいいに決まっているのだ。
 押入の奥から水着やうきわを引っ張り出し、息子さんお気に入りのお菓子を求めてふたりで店をハシゴする。前日は夜中の1時まで大騒ぎで荷物を詰めた。大騒ぎの大興奮なのだ。なんせ友達の家まで大荷物を持って行かなくてはいけない。準備に抜かりがあっては大変である。息子は自分のスキー旅行用の大きなリュック、わたしは旦那さんの巨大なリュックとビーチテントを運ぶことになった。わたしは通勤電車(というほどの混みようではないが)にリュックを背負って乗り込まなくちゃいけない。さて、初めからわかっていたことだけれどちょっと大変じゃないか?
 そんな訳で元からそれほど大事にされていなかった合コンは、どんどんその地位を下落させていった。男友だちに3年ぶりに会えるのは楽しみではあるけれど、何も海に行く前日に飲まなくてもよいのだ。一応彼のメンツもあるだろうからわたしも久しぶりにスカート穿いてコンタクトにして……と思っていたのが、「海に行ける格好で小綺麗め」というレベルにあっさり変更される。5年くらい前から着ている可愛い系ノースリーブにジーンズを穿き、足下はスニーカー。目が疲れるので眼鏡のまま、ただ普段よりは幾分真面目にアイメイクをしておく。まぁ、こんなもんで許してよ。
 また長くなったので続いてみる。たいして面白いこともないんだけど。