秘書ならば美人

 気が付けばもう秋風吹いてます。でもまだまだ暑い京都から、あと2回続く(予定)バスツアー記に割ってご報告。
 柚木は10月からキソ物理学研究所というところの秘書室勤務となりました。今のバイトとあまり身分は変わらないのだけれど、「秘書室」というところがなかなかお洒落です。お気に入りです。秘書の枕詞といえば美人。よって10月からワタクシも晴れて美人の仲間入りなのです。やっほー。
 研究所はわたしの出身大学の内部機関。とはいえどこを切っても文化系、理科系嫌々回避思考にずっぷりと頭の先まで浸かりきった柚木には、まるで想像のつかない世界なのだ。
 募集要項にTOEIC700点程度とあるのを見なかったことにして、試験と面接を受けに行った。世の中には非常に真面目な人が多いのか、集合場所に集まったのは3人だけ。うちひとりは6年間アメリカにいて、この前帰って来たばかりだというおばさんだった。
 手作り感溢れる英語と国語のテストを2時間ほど受け、そのあと10分くらいの簡単な面接を受ける。面接官はずらっと15人くらいが並んでいた。――15対1。圧倒的劣勢におののきながら質問に答えていく。みんな(たぶん教授とかだ)きっと暇なのだ、と思う。
 面接で突っ込まれたのはやはり英語力のことだった。そりゃそうだ、TOEICを受けるつもりって言ったところで何の説明にもなりゃしない。高校時代にとった英検2級や1ヶ月ぽっちのホームステイをどう過大評価してくれたのか、柚木が哀れな卒業生だったからか(おそらくこれがすべてだ)、見事色好いお返事をもらえることになった。実にめでたい。(卒業生に対して責任感のある大学でよかった)。
 いただいて帰ってきたパンフレットによると、キソ物理学研究所は①物理学キソ研究部門(チョウ弦理論分野等)②物質コウゾウ研究部門(ゲンシ核構造分野等)③極限コウゾウ研究部門(宇宙コウゾウ分野等)という3つの研究活動を行っているらしい。
 ――なんのことだかさっぱり分からない。意味不明な漢字やカタカナの羅列を眺めていると、だんだん語学力があったって(英語が出来たって)意味無いんじゃないのーという気がしてくる。
 さて、こんな異世界でわたしが無事にお仕事出来るのか、またご報告いたします。