夏休みの思い出 バスツアー波瀾の1日目

 バスツアーはすごく楽しかった。でもわたしの好みから言えば、ちょっと色々詰め込みすぎである。
 1日目は上高地、2日目は軽井沢がメインだったのだけれど、どちらも滞在時間は2時間。その他の観光場所なんかは40分程度の時間しかとられていない。お盆で道が混んでいる分を差し引いても、なんとも慌ただしいんである。40分の観光、1時間半の移動。これがバスツアーの模範的スケジュールなんだろうか? 1000円の幕の内弁当的、中途半端なお得感が詰め込まれている。 
 それにしても今回のツアーは色々波乱に満ちていた。確かに集合の時から前兆のようなものはあった。小学生を連れた5人家族が、座席を最後尾に変更して家族が1列で座れるようにして欲しいと主張し始めたのだ。お盆でいつもに比べて道が混んでいるっていうのに、それで初めから少しおくれてしまった。
 添乗員がまた頼りない男だった。旦那さん曰く「完成されたデブ」、そして息子さんが「ぽっちゃりさん」と呼ぶまだ若い添乗員は、背が高くしっかりと太っていた。満員御礼のバスに彼の座席はなく、お客さまに挟まれながら補助シートに座る。お尻も身体も、左右にぼってりはみ出している。移動時間中、彼はすぐに寝てしまう。右隣のおじさんは、ぽっちゃりさんの頭があと5センチのところに迫って、いつも遠慮がちに身を縮めていた。起きている時はずっと携帯メール。業務連絡だと信じてはいるけれど、あまり見目の良いもんじゃあない。
 そしてツアーの中で唯一ひとりで参加していると思われるお婆さんが、必ずといっていいほど集合時間に遅れてくる。それが最大の混乱原因だった。不運なことにお義母さんが彼女の隣の席になったものだから、バスの出発前いつも立ち上がる羽目になった。だいたい5分から10分の遅れ。これも積もると大きい。
 なんやかんやで宿泊ホテルに到着した頃には、予定時間を2時間ほどオーバーしていた。ホテルは別に可もなく不可もなし。
 ――次の日も朝から移動の一日である。