沖縄旅行へ出発する

touko_yuzu2007-09-09

 息子の夏休みが始まってすぐの日曜日、親子3人プラスばぁばで念願の沖縄旅行に出かけた。3泊4日の貧乏旅行。できれば6月に行きたかった。夏休みにはいるとツアー料金がぐぐぐっと跳ね上がる。実際、4人で10万円くらいは違ってくる。しかも沖縄の7月は台風シーズンでもある。どうも納得がいかない。
 だけど学校を休んでしまえと言う説得虚しく、息子は頑として肯かなかった。「だって10万円くらい違うんだよ〜」と言い続ける母に、「俺には学校はそれだけの価値があるってことやねん」と応える。そんな価値は絶対ないぞ! それにどうせそんなに真面目に授業を聞いていないだろうに。ぶつぶつぶつ。なかなか諦めきれない。
 息子さんは1年生の時から5年生になった今まで、無遅刻無欠席無早退を続けている。ぴっかぴかの皆勤賞なのだ。一回くらい風邪引いて休んでおけば、こんなに学校に拘らないだろうに、と息子の健康をほんの少しだけ恨めしく思う。
 7月の旅行の予約を、5月にとる。2ヶ月前に一体誰が予約なんてするんだ、と学生時代には思っていたけれど、それも今は遠い昔。好きな時に休める学生時代とは違う、ほんとに。(ヤダナー、もう)。飛行機とホテルだけのパックツアーなので、滞在中のプランを立てなきゃいけない。ガイドブックと睨めっこし、ネットでクチコミをチェックする。暇な仕事中に、こっそりエクセルで予定表を作ったりする。
 観光地を慌ただしく回ってぐったりと草臥れるような旅行だけは嫌だと信じていたのに、予定を立てているうちにそれが怪しくなってくる。無料の入場券があると絶対に行かなきゃいけないような気がする。貧乏性が内蔵の奥深くまで染みついているのだ。
 読めない地図を眺めて移動時間を推測し、プランを決定する。簡単な持ち物リストを作成し、必要なものを買いそろえていく。こんな風に計画的に旅行する日が来るだなんて、高校生の頃には思いもしなかった。
 なんて自分に感心していたけれど、荷物を詰め終わったのは前日の夜中だった。そしてもちろん、つまらない忘れ物はやっぱり無くすことは出来ない。(化粧水が足りなくなった)。母はほんの30分くらいで荷造りを終える。見事なくらいあっという間だ。でもこれは旅行慣れしているんではなくて、単に忘れ物とかを気にしないおおらかな性格をしているってだけなのだ。
 朝6時50分、乗合いタクシーが家の前に迎えに来る。途中、人を拾うためにぐるぐると道を回る。細い道をワンボックスカーで揺られていると、寝不足の頭にがんがん響いた。
 飛行機にはもう10年近く乗っていない。関空は記憶の中よりもずっときれいに活気溢れているようにみえる。
(イギリスの航空調査会社スカイトラックス社発表の「AIRPORT of the YEAR 2006」ではトイレの清潔さ世界1位の栄誉を賜ったみたいだけど、そんな風には思わなかった。(残念ながら今年は2位)最近デパートとかのトイレは何処もきれいだからね。
 空港内をのんびり探索したいところだったけれど、そんなことをすると飛行機に駆け込まなきゃ行けない羽目になることが経験上明らかなので、さっさと手荷物検査を済ませる。搭乗口前のロビーで椅子に座り、待機中の飛行機を眺めながら搭乗時間を待つ。記憶に残る始めての飛行機旅行に少し興奮していた息子は、売店でジャンプを見つけてからは止まってる飛行機になんて見向きもしなくなった。
 機内は思ったよりもずっと狭かった。椅子は軽量化のためなのかぺらぺらしていて、新幹線の座席の半分の厚みもない。機内が狭いせいかジェットコースターに乗ってるみたいに、振動が身体に直接響いてくる。着陸のため飛行機が下降を始めると、男の子が泣き叫び始めた。高度を落とす時のあのなんとも言えない不快感に、きっと耐えられなかったのだと思う。気持ちは分かる。だけど「おしっこもれちゃうー」と声をからして叫んでも、残念ながらシートベルトを外していいとのお許しはもらえなかった。でもおしっこは無事だったみたいなので何よりです。
 レンタカーを借りるために市内をバス移動。那覇市内はひどくごみごみして見える。南国の半楽園に来たつもりなのに、青空が見えない。首を大きく曲げて上を見上げなければ、空が見えないのだ。京都は町中でもビルの向こうに空が見える。ビルの谷間に埋もれていると、閉塞感で息が詰まる。
 レンタカーはデューティフリーショップの中にあった。どうして国内旅行でDFSが利用できるのか、よく分からない。沖縄はやはり海外だってことなのか? ブランド商品で溢れる店内は、ひねくれた蛇みたいに入り組んでいる。ぐるぐると目を回しながら、足早に通り過ぎる。
 ホテルに向かいながらやっぱり沖縄は海外じゃないな、と当たり前のことを思う。空も街も人も、みんな日本の顔をしている。沖縄が常夏の島じゃないってことぐらい知っていたけれど、梅雨が明けたばかりの京都よりうんと涼しいっていうのも、ちょっと雰囲気がでない。もちろん過ごし易くていいのだけれど。