沖縄めぐり三日目 

touko_yuzu2007-10-02

 目覚ましの音に飛び起き、6時半過ぎにレストランに駆け込んだ。食べ始めてすぐに狭い店内はいっぱいになる。お腹いっぱい食べて外に出ると、外は長蛇の列だった。下に水着を着てすぐに出発。今日は朝から親子3人、青の洞窟シュノーケルツアーに参加するのだ。遅刻は出来ない。
 ツアー中バァバはひとりで残波岬に行ってグラスボートに乗り、「むら咲きむら」でおばぁに料理を習う。期間中、これが唯一の別行動。
 青の洞窟と呼ばれる小さな空間は、ウエットスーツを着た集団で芋の子を洗うような有様だった。洞窟の入り口から奥に光が射して、薄暗い海を青く輝かせている。10メートル下の海底が、はっきりと見える。魚群が指先を横切っていく。ベストが浮き輪の代わりになっていて、魚を追って潜ることは出来ない。人々の足に蹴飛ばされ、ダイバーの吹き出す気泡が視界を邪魔する。コアラ来日記念の行列みたいにガイドに背を押され、ところてんよろしく先に押し出される。悲しいけれど、これが夏休みなのだ。とても楽しかったけれど、今度はぜひ冬に来よう。
 シュノーケルの後はシーカヤック体験。ウエットスーツを着たままバンに乗る。バンの中は蒸し風呂のように暑く、磯の香りがする。車内はあちこち錆がついている。潮は色んなものを錆び付かせる。車だって例外ではない。海面に波は見えない。でもカヌーに乗って海に漕ぎ出すと、見えない波に流される。
 ばぁばも合流し、近くの「琉球村」でエイサーを聴きながら念願のソーキそばを食べた。期待したほどは美味しくない。園内をぶらぶらと一回りする。琉球の遠い時代の雰囲気を楽しみ、陶芸工房で自分の為に魚模様の青いお湯のみを一つ買った。無料券で入場したので、未練なく外に出る。次はまた無料券のある「東南植物楽園」へと移動。
 植物園というのは、何処もそれなりに素敵なものだ。トラムに乗って説明を聞きながら園内を一巡する。途中でトラムを降り、椰子の木に掛けられている梯子に登る。うまく写真を撮ると、本当に木に登っているみたいに見える。だけど息子が必死で手を伸ばした椰子の実は、プラスチックだった。大きなガジュマロの木は、台風で根元からなぎ倒されていた。キジムナーはいったい何処に行ったんだろう? 花もずいぶん散っていた。真っ青な空を見ていると、台風のことなんてこれっぽっちもうまく想像できないんだけど。
 植物園もさっさと切り上げて、「ビオスの丘」に向かう。入場料をきっちり払ったから言うわけじゃないけど、ここはなかなか気持ちのよいところだった。湖水観賞舟でガイドをするジョニー(一応日本人)の変な解説がとても楽しい。園内のゴミ箱は芝のポストみたいになっていて可愛らしいし、すっくと伸びた木にブランコやハンモックが吊ってある。母が歩くより遅い水牛車に乗っている間、わたしは園内を全部歩いてみようと言って遊歩道に入り込んだ。湖を臨む東屋を見つけて駆け寄ろうとした時、「止まれ。蜘蛛だ」と旦那さんの声が聞こえた。悲鳴を上げて東屋を走り出る。振り返ると東屋の屋根から大きな黒い蜘蛛が数匹、巣を張っているのが見えた。ジョロウグモだと思う。腹だけで卵ぐらいの大きさがある。黒い身体に赤や黄色の警戒色が不気味に浮かび上がっている。また悲鳴を上げた。心臓がバクバクと鳴り、恐くて写真を撮りに近付くことも出来なかった。(ここにアップしたかったんだけど)。さらに奥へと続く細い道には、しばらく人が足を踏み入れた様子はない。そこがジョロウグモの巣窟でないという保証はないので、わたしたちも足を踏み入れない。(でも職員の人は踏み入れたほうがいいんじゃないかな。余計なお世話かもしれないけど。)
 閉園時間にここを出て、ホテルへ帰る。7時までにホテルに戻らなければ、またご飯を求めて彷徨う羽目になる。万座毛で日没を見るという美しいプランは食欲の前に脆くも崩れ去った。念願のホテル内居酒屋での食事は、激しく賛辞を送るほどのものではなかった。残念ながら。充分に美味しかったけれど、遠方から訪ねてくるほどのことでもないように思う。
 無事食事を終え、部屋中に広げた洗濯物を片付ける。最終日の予定を確認し、就寝。