息子日記 その5

 息子は毎朝7時きっかりに起き、シャワーを浴びる。「めざましテレビ」を見ながらパンを食べ、着替えを済ませる。寝ている母に(わたしだ)時々「起きろー、起きろー」と声を掛ける。「きょうのわんこ」を見ながら歯を磨き、「今日の占いカウントダウン」で牡羊座の順位を確認すると、ランドセルを背負いブルーウェーブの色褪せたキャップを被ってさっさと出かけてしまう。それが8時きっかり。ようやく起きた母が引き留めようとも、心を動かされたりはしないのだ。
 夏休みが終わってからずっと、息子さんはそんな調子で誰に起こされなくてもひとりで目を覚まし、夜更かしの母を起こしてくれる。(でも宿題はしない)。急にそんなに(一部分に特化して)お利口さんになられると、母はとても驚いてしまう。
 最近では『HERO』のキムタクに感化されたのか、(本人はマンガ「BLEACH」の影響だと主張)スペイン語を勉強したいと言い出した。そんなの続くわけ無いのに、ぶつぶつ。散々文句を言いながらも、ちゃんとリクエストどおりにスペイン語の本を買ってきてあげる優しい母(それはわたし)。本を眺めながら、ふたりで毎日「ムーチョ グスト(はじめまして)」と握手をする。「アディオス」と息子を学校へ送り出す日は、いつまで続くのだろう。