息子さんが12歳になりました

 3月はわたしの誕生日、4月は息子さんの誕生日なのだ。わたしはこれからどんどん脳の皺が薄くなり老け込むばかりであるけれど、息子さんの誕生日はまだまだ目出度い。
 新学年始めの健康診断で、ついに彼はわたしのささやかな身長を抜かした。まだ数ミリ単位の差なのだから誤差の範囲内だと主張してみても、既に視線の高さが真実を語っているようにも感じられる。脚の長さは遠の昔に抜かれていた。膝下もしゅんと長く、惚れ惚れするようなスタイルである。最近の子は全く! と羨む相手が息子さんで良かった。
 息子さんはお年玉をはたいて自分専用のPSPを買い、モンスターハンター2nd G
をパパ゚と楽しむ毎日。誕生日にはおいちゃん(叔父さん)まで総動員してWiiを手に入れ、小学校最高学年をまさにゲーム漬けで過ごそうとしている。それもまぁいいかと思いつつ、少しは本も読んだらどうですかと、目の前に本を置いてみる。最近はルイス・サッカーの『穴』をバァバとふたりで楽しみ、続けて『歩く』を読まさせられているところだ。そんな読書好きでも国語が得意でもない彼が、マンガより先に手にするかもしれない唯一の小説は、実は宮部みゆきの『ドリームバスターズ』だったりする。読書家になる素質はあるように思うのだけれど、ただの親の欲目かな。

穴  HOLES (講談社文庫)

穴 HOLES (講談社文庫)