おめでたいこと

日本人三名のノーベル賞受賞を知ったのは、朝起きてからだった。仕事帰りに職場の教授や学生さんたちと話題にしておきながら、テレビにテロップが流れなかったのを、すっかり残念だったのだと早合点したのだ。(「明日(8日)のミーティング、(益川さんが)ノーベル賞をとらなかったら出席します」と言った教授は、実際記者会見のためミーティングには出られなかった)。夜のニュースを母のサスペンスに奪われていたとは、まったく馬鹿としか言いようもない。
やぁやぁ実にめでたいねと職場に着くと、研究所の前は報道陣でいっぱいだった。隣を歩いていたベテランの秘書さんは、途中で何処かの記者さんにキャッチされた。何故ここにこんなに? という解は簡単で、研究所は益川先生の記者会見会場になっていた。先生はわたしが勤め始める前、ここの所長を勤めていたのだ。
そんなことになっているとは知らないわたしは、フォークロア風のふざけた格好をして来て、そのまま先生にお茶を運んだり昼食を配膳したりした。間近で見る益川先生はとても小柄で、綺麗な白髪をしている。研究所は一日騒がしかった。研究員さんたちは記者につかまっては、XXテレビ(あるいは新聞)からコメントをとられたと騒いでいる。帰ったらテレビを見よう。
南部先生は、一度すぐ近くでお見かけする機会があった。穏やかで優しそうな雰囲気の方で、「最近ジャンクメールと言うのが多くて困るね」などとおっしゃった。あの!お年で『ジャンクメール』! わたしはいっぺんに心を捕まれてしまった。某(恐ろしい)教授の退官記念パーティで当該教授のアイコラ写真を披露したなど、伝え聞いた素敵なエピソードにますます虜になった。お元気なうちに貰われて、本当によかった。
あとは春樹さんだけですね。