あみねこの行方

touko_yuzu2010-08-11

昨年せっせと編み続けた「あみねこ」さんたち4匹は、初めに作った不格好なアポロを除き、みんな人にあげてしまった。大きめのモモと小さなサンドは、お義母さんから6歳と2歳の姪っ子に渡してもらった。ふたりの親が離婚してしばらくしたころで、もしかしたらもう姪っ子たちには会えないのかもしれない、と思っていた。けれど伯母ちゃんとしては、「君たちのことが好きだし、会いたいのだよ」というメッセージを(できるなら)伝えたかったのだ。でもそんなこと、口に出してはうまく言えないよね?
あげた(というか押しつけた)ねこさんたちは、どうしているだろう? と時々考えた。おもちゃ箱の底で埃にまみれているかなー、と想像した。一番ありそうな姿だと思った。
つい先日のこと、姪っ子たちがお義母さんの家にふたりでお泊まりに来ていたので、会いに行った。生まれてすぐに一度抱っこしたきりの下の子は、もうすぐ3歳になるんだそうだ。時はびゅんびゅんと流れていく。
お義母さんの家に着いたのが夜遅かったので、久しぶりの再会を喜びしばらくわいわい騒いだ後、すぐにふたりの寝る時間がやってきた。
「くまさんどこ?」
布団に行く前、ふたりが探し、しっかりと握りしめたのは、わたしのあみねこさんたちだった。大きめのモモはお姉ちゃんが、小さめのサンドは妹が。
「これね、怖いのを吸い取ってくれるの」
とお姉ちゃんが教えてくれた。わたしのあみねこさんたちは、「優しい眠りをもたらすくまさん」として愛されていたのだ。色はきれいなまま小さな毛玉がぽつぽつあるのは、ママが何度も洗濯してくれたからかもしれない。
姉妹は寝る寸前まで「くまさん」をぎゅっと握りしめていた。怖いの、みんな吸い取ってくれるといいね。
「しっぽが長いから、これはねこさんなんだよ」
そう教えたけれど、納得はしてくれなかったみたいだ。サンドのしっぽを持ってぶらぶら吊り下げてたら、妹は非難の目でわたしを見ていた。
こんなに愛してもらって、作り手冥利に尽きます。久しぶりにあったふたりの姪っ子がすぐに懐いてくれたのも、この「くまさん」に込めた念のお陰かもしれない。次はまた、お正月に会えるといいな。